原料処理(米の処理)の目的は最も美味しい溶け方をする蒸米を造ることです。
酒造りの基本は、「1、麹 2、酛(酒母)3、造り(もろみ)」ですが、原料米の処理が想定と違ってしまうと、後の工程での調整が難しくなるため「酒造りは原料処理で決まる」とも言われています。
作業内容はまず米を洗い、糠(ぬか)を取ります。家庭でご飯を炊く際に米を研ぐのと同様、ここで米の糠や汚れを取らないと美味しい日本酒を造ることはできません。
弊社ではMJP(水に空気を混ぜて米を洗う機械)で行っています。その後浸漬(目的の水分量まで吸水させること)しますが、特に高精白の米は 吸水速度が速いため秒単位で吸水時間を調整する必要があります。これを限定吸水と呼びます。その後限定吸水した米を蒸していきます。甑(こしき)と呼ばれる蒸米機によって蒸されます。
蒸した米は、放冷機(蒸した米を適温に冷やす機械)により麹、酛(酒母)、掛米(もろみ)用と、それぞれに応じた温度に冷まします。
以上が原料処理の主な作業内容です。
お酒造りの最初の一歩である原料処理は、美味しい日本酒造りの第一歩なのです。
原料処理は日本酒造りにおいて最初の一歩です。ここで上手くいかないとその後の工程に影響が出てしまうので、責任と誇りを持って作業しています。
今よりももっと美味しい日本酒を造り、皆様に日本酒を楽しんでいただけるように日々努力をしてまいりますので、これからもよろしくお願いいたします。
「麹」は米や麦、大豆といった穀物にカビの一種である「麹菌」を増殖させたものです。麹は日本酒を造るうえでなくてはならない存在です。
麹造りでは蒸米を適温に冷ました後、麹室へと移し、そこで蒸米に種麹(麹菌)を振りかけ、布で包み込み24時間程度の時間をかけ、麹菌を蒸米に繁殖させ、発芽させます。麹菌が発芽したら、固まった蒸米をほぐして、盛棚と呼ばれる層へ移し替えます。更に蒸米の温度経過をみながら3回ほど手入れを行い、さらに 盛り後24時間ほどの時間をかけて、麹菌を蒸米へ繁殖させ、約二日間で麹が出来上がります。
麹の役割は原料のお米のデンプンを酵母が食べやすいように糖分に変化させる糖化酵素を作り出すことです。
製麹を担当しています。後藤優樹です。日々麹菌達の温度や見た目、手触りなど見えないからこそ麹菌達が教えてくれる情報をもっと汲み取れるようになりたいと思っております。
日本酒には欠かせない「麹」は酒造りの中で色々な役割を果たしています。僕たちが我が子のように育てた麹が次のステップへきちんと進めるよう大事に育てております。
酒母とは「酒の母」と書きますが、昔は酒母のことを酛(もと)と呼んでおりこの漢字からも分かるように日本酒の元となる工程です。昔から「1、麹 2、酛(酒母)3、造り(もろみ)」と言われるほど重要視されている工程で主な目的は優良清酒酵母を純粋かつ大量に培養をすることです。
その清酒酵母とは、麹菌が米を糖化して得た糖を分解してアルコールを生成し、お酒を生み出すための決定的な役割を担うものです。また、清酒のあのフルーティーな香りや爽やかな香りを作っているのもこの清酒酵母です。この清酒酵母は酸性に強い特性があるため、酒母事態の酸性度を高くして野生酵母や有害細菌が発生しにくい状態にし、麹と蒸米を添加して糖化した後、清酒酵母を添加していきます。
弊社が現在用いている製法が「中温速醸」「高温糖化」「山廃(山卸廃止)」「生酛」の4つです。その中でも全体の約8~9割は中温速醸製法を用いています。この4つを大きく分けると速醸系酒母(中温速醸,高温糖化)と生酛系酒母(山廃,生酛)に分けられます。速醸系酒母は乳酸を添加して酸性度を上げる製法で、生酛系酒母は自然の乳酸菌で乳酸を発生させて酸性度を上げていく製法です。前者は確実に酸性度が上げられ、野生酵母等の発生の確率が下がります。一方、後者の製法では、造り手は乳酸菌が発生しやすい環境造りに務め、自然に乳酸が生成され、野生酵母等の発生確率を減らし、優良酵母を増やしていける状態にする製法です。
この2分野4種類の製法を駆使し、優良な清酒酵母を大量生産し、次の醪の工程にバトンタッチします。
酒母を担当している坂本です。
仕込1本1本の香りと状態の変化を日々見ていく中でそれぞれの仕込みで温度等の環境を変化させていく大変さを痛感しつつ、飲んでくださる方々に最高のお酒をお届けできるよう大切に仕込みました。皆さんが弊社のお酒を飲んで笑顔になっていただけたら嬉しいです!
水麹
酒母、添、仲、留、いずれの仕込みでもタンクに投入する順番は、仕込み水、-麹-、-掛米の順で投入します。これは麹の酵素をいったん水に抽出して、後から投入する掛米に吸わせるためです。仕込み水に麹を投入する作業を水麹と言います。麹菌はこの段階で働きを終えており麹菌により生産された酵素が醪(もろみ)の最終まで働き続けます。米は吸った酵素によって外からではなく内部から溶けていきます。
添仕込み
「添仕込」は仲・留を仕込むタンクとは別に、小型のタンクを用意して仕込みます。いきなり大きいタンクに少ない物量を仕込むと、上部の空間が広いために醪(もろみ)
が冷え込んで醪の温度が低下してしまうからです。
踊り
添仕込みの翌日は踊りといって仕込み作業は休みます。この踊りの工程は、酵母の十分な増殖を待つ期間でもあります。
仲仕込み・留仕込み
踊りの翌日仲仕込みを行い、仲仕込みの翌日留仕込みを行います。仕込み温度は徐々に下げていきます。添と同様に、いずれの温度も、精米歩合が低くなるほど(高度精白した米ほど)低くなります。
仕込み単位でそれぞれに目的とする酒質を定め、毎日サンプリングをしてアルコール度数や、糖度、酸度、アミノ酸度、等を分析し、数値的に発酵の進行状況を把握しますが、もろみの香りや状貌など、官能的な変化を把握することも重要です。伝統を受け継ぎつつも新しい酒造りにチャレンジし、お客様が天山のお酒を飲んで喜んで頂ける酒造りを続けていきます。
上槽とは醪を酒と粕とに分離する酒造工程の最後の部分です。
手法としては様々ありますが、天山酒造では薮田式自動圧搾機を使用した絞り方と袋吊りという手法を用いた搾り方の二種類を行っています。
上槽されたお酒は、極力空気に触れさせないようにして、低温で貯蔵できるタンクへと移して管理しています。そののち短期間のうちに瓶詰をされ製品になっていきます。
様々な酒造工程ののち約一か月という期間経て熟成した醪が、上槽されることでキラキラとした透明の雫となって日本酒へと変わる。この時が上槽を担当していて非常に心躍り、また、お酒造りに携わっていてよかったとしみじみ思う瞬間です。
さらなる品質向上のために、2015年11月から最新式の充填ラインを稼働。窒素ガスを注入して酸素の少ない状態で充填し打栓できるイタリア製モノブロック充填機の導入により、酸化を防ぐことが可能になりました。
冷蔵設備(5℃)と氷温設備(-7℃)を備えた冷蔵設備であり、一升瓶換算で約10万本を貯蔵することができます。これにより、商品管理が以前に比べよりよくなりさらに品質の良い商品を出荷できるようになりました。